【コラム】日本の株は大丈夫?

株価が上昇局面であればどんな投資法をしていても儲かる確率は高くなります。過去の株価の推移を研究すれば、今後の株価の動きを予想する上で参考になります。

1970年代〜1985年 (高度成長時代)

【この時代の株価推移】
1970年 2000円
1975年 4000円
1980年 7000円
1985年 13000円

 この時代は、欧米社会に追いつけ追い越せとばかりに頑張り、ようやく追いつくことが出来た時代です。トップに国がいて、国の手先として銀行があり、各銀行はそれぞれ企業という部下を持っています。まず国が方針を定め、その方針通りに産業界が動くよう銀行に指示します。銀行は部下である企業に金を貸し、これから進むべき方向を指示します。つまり日本の企業はすべからくお上の方針には逆らえないしくみになっており、独創性を出す余地はあまりありません。お上に気に入られるためには天下りも受け入れますし、国の官僚との関係を良好に保つためワイロも欠かせません。もっとも、国の官僚は欧米の成功しているシステムを真似して今後の方針を定めればいいわけで、基本的にその方針には間違いがありません。試行錯誤をする必要がないので、最も効率的に経済成長を達成できます。これが日本の高度成長を支えたからくりです。

1985年〜1989年 (プラザ合意〜バブルの到来)

【この時代の株価推移】
1985年 13000円
1987年 20000円
1989年 38000円

 ここまで順調だった日本経済ですが、1985年のプラザ合意をきっかけとして転機が訪れます。これによって急速に円高が進み、日本製品の国際競争力が低下していったのです。ただこの時代、プラザ合意による円高を耐え切り、強い国際競争力をつけた会社も存在しています。そういう強い会社が銀行からお金を借りるのではなく、株式市場で自ら資金を調達するようになって来ました。(株式市場で投資家から投資資金を得た方が、銀行から借りるより資金調達コストが安くなります。)一部の国際競争力のある会社が、銀行から資金的に独立するようになり、結果として国の方針、銀行の方針から独立して、自ら方針をたてて活動できるになったのです。これで困ったのは銀行、優秀な企業が自ら資金を調達するようになったものだから、お金を貸し出す先が見つかりません。 お金を貸し出さなければ銀行は儲からないので、倒産してしまいます。そこで優秀じゃない旧来の産業に、よりいっそうの資金を貸し出すようになりました。またあまった資金は、自ら株や土地などに投資しはじめます。お金を貸した旧来の産業にも株や土地を買うように推奨します。この結果どうなったか?その本来価値以上に株価や地価が上昇し、バブル経済が到来するのです。バブル時代、すでに競争力をまったく持たない旧来の産業は、株価や地価の上昇によって多量の含み益を出します。会社の進むべき方向の方針もなく、競争力もないのに儲かるもんだから、自分の会社は優秀なんだと勘違いしてしまいます。

1990年〜1998年 (バブルの崩壊〜失われた10年)

【この時代の株価推移】
1990年 24000円
1992年 17000円
1995年 19000円
1997年 15000円 (山一證券自主廃業)
1998年 13000円 (長銀破綻)

 こんな勘違いは長く続くはずもなく、やがてバブル経済は崩壊します。1980年代後半に会社の方針を立て直すべきであった旧来の産業は、多量の不良債権を抱えて壊滅的打撃を受け、いくつかの企業は倒産していきます。そのクライマックスが、1997年の山一證券自主廃業、1998年の長銀破綻です。長銀の破綻によって株価はバブル崩壊後の最安値をつけます。

1999年 (ITバブルの到来)

【この時代の株価推移】
1999年 18000円

 米国のNASDAQ急上昇に引きずられるように、日本でもIT関連企業の株価が急上昇します。有名どころは光通信、ソフトバンクでしょう。

2000年 (ITバブル崩壊)

【この時代の株価推移】
2000年 14000円

 「光通信の株を買えば絶対に儲かる」当時はテレビでも雑誌でも本でもそういう内容のことが常識として語られていました。 そんなさなか、光通信の株価は崩壊します。それをきっかけとして、IT系企業の株価が軒並み下げます。

2003年 (りそな銀行への公的資金注入、みずほ銀行の1兆円増資)

【この時代の株価推移】
2003年 8000円

 日本の社会は、健全化へ向けてまったく先が見えない中、りそな銀行が破綻しそうになります。国としてはここでりそな銀行を見捨てて日本国の大手術を行うか、それともりそなを助けて当面の金融不安を解消するか、選択肢があったのですが、後者を選びました。これによって当面の金融不安は解消し、ここを底として株価は上昇局面に入ります。またみずほ銀行が増資によって市場から1兆円を調達するというイベントもありました。このことは銀行が国の支配から独立して自らの道を歩み始める第一歩となりました。

2004年〜2005年 (景気拡大!?)

【この時代の株価推移】
2004年 11000円
2005年 16000円

 2003年夏以降、りそな銀行への公的資金注入をきっかけとして、銀行の株価がどんどん上がり、みずほ銀行などのメガバンクの株価が10倍以上に膨れ上がります。そんな過熱感を背景にたくさんの企業が新規上場し、新興市場は活況を呈します。バブル崩壊から15年を得て上昇波動に突入した日本の株ですが、だからといって今後一本調子に株価が上昇していくわけではありません。過熱感から、実力以上に買われている企業の株もたくさん存在し、非常に危険な状態であるともいえます。

2006年〜 (格差社会の到来)

【この時代の株価推移】
2006年 16000円

 ライブドアの堀江社長の逮捕をきっかけとして、新興市場は崩れ始めます。それと比較して、日本を代表する一流企業の業績は堅調であり、株価も上昇していきます。強いものはより強くなり、弱いものはどんどん駆逐されていく、格差社会の到来です。

日本の株は不安定

 以上簡単に日本の株の歴史について紹介していきましたが、案外株価の変動が激しいということがわかります。日本の株式市場はゆがみが大きく外圧に弱い構造を先天的に抱えているため、投資対象が日本の株式というだけでは不安が残ります。

 次のページではリスクヘッジ手段の一つとしての、外国為替保証金取引(FX)による外貨投資について紹介します。

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